第10話・・・・そうだ 京都のBAR、行こう。 2000年7月記
 個人的に京都は好きな街である。
昨年の6月初旬、何を思い立ったか(?)突然平日に休みを取って、1泊2日で京都へ行った。 もっとも普通の人と違い、旅行の目的は、京都のBAR巡り。 (実は、京都で飲むのは初めて。)

 「こだま」にゆられて3時間半程で京都駅に着く。駅から高瀬川沿いにブラブラと河原町まで歩く。 宿は、河原町のビジネスホテルに決め(何せ祇園が近い!)夕方まで祇園や鴨川べりをひやかす。

 5時。満を持して、『京都サンボア』へ向かう。 この店、事前のリサーチでは、京都でも老舗の名門BARとのこと。期待してドアを開ける。
うーん。何かが違う。とりあえずギムレットを注文。・・・・まぁ、こんなもんか。 次にブルー・ムーンを頼む。・・・・自分の味と大差ないぞ。と言う訳で、そそくさと退散。 (この間、わずか30分程) 予定が狂ってしまった。
次の店には、(開店まで)時間があるので、仕方なく、そろそろ灯りの点き始めた先斗町界隈を散策し時間をつぶす。

 2軒目は、先斗町の『BAR セント・ジェームス・クラブ』。 事前のリサーチでは、「京都」を感じさせるBARとのこと。 狭い階段を上り、2階へ上がる。おっ。バーカウンターの向こうに酒が並んでいない!。 あるのは、一面の障子。背後からの照明で浮かび上がっている。・・・・これが「京都」かい? 一寸拍子抜けしつつも、注文する。マルガリータをクエルボ1800で。・・・・味は、正直言って今一。 次に、ダイキリにグレナディンで少し色を付けて。と頼む。・・・・これもなぁー。 と言う訳で、ここもそそくさと退散。(この間、わずか30分程)またまた予定が狂ってしまった。

 夕食は祇園の「いずう」で、鯖の押し寿司。いよいよ本日のメインイベント、『ぎおん多恵子』と言うBARに向かう。 が・・・しかし、その場所に店が無い。電話帳で探すも、番号も無い。 どうやら店をたたんだのか。(この世界ではよくあること)10年前の紹介記事を頼りにした自分が悪い。 ここでへこたれるには、まだ時間が早すぎる。せっかくの京都の夜が勿体ない。

 そうだ!『BAR SHIFT』にしよう。ここなら開店して10年ほどの店。よもや閉店って事はないだろう。 住所を頼りに祇園の街を漫ろ歩く。あった。階段を4階まで上がる。なんと、開店時間には早かった。 出直しだ。再び夜の祇園を歩き回る。(なんと、時間潰しの多い1日か。)30分程して、やっと入店。
ギムレットを注文。思ったよりボトルの種類が少ない。とりあえずハイランド・パークでつなぐ。 これもあっという間に飲み干し、ラガヴァリンを注文すると、若いバーテンダーが話しかけてきた。
「スコッチ好きなんですか?」(しめしめ。一人寡黙に飲み続けるのに飽きてきた頃だった。)
そこから、今日の旅の目的やら、京都のBARの話で盛り上がる。 そのうち、カウンターに座っていた常連客も混ざり東京のBARの話や、マティーニの話で最高に盛り上がる。 こうなると、マティーニが飲みたくなるもんで、「渾身のマティーニを作ってくれ。」などと頼む。 これが、本当に美味い!!。 そんなこんなで、この店に4時間近くいた。(ここだけで、都合6杯飲んだ。)
ホテルに戻ったのが夜中の1時半過ぎ。スゴイ1日となった。当然翌朝は強度の二日酔い。

 ちなみに『BAR SHIFT』は、昨年6月18日で経営者が変わり、あのときのバーテンダーもよそに行ったらしい。 「藤井 利幸」くん(名刺貰った)、若いが気骨のある良いバーテンダーだった。